【☆第9回奈良県下極真空手型競技会☆】
=大会寄稿 : 伊藤賢二参段 天理分支部長=


平成19年10月14日第9回奈良県下極真空手型競技会が山と郡山市立武道場で、
昨年より20名少ない62名の参加で開催された。ご多忙の為師範には出席いただけなかった。
大会成績は時の表の通りとなった。


型競技会成績表



『 型って何 』

あなたは型稽古をした事によって、組手が強くなりましたか?
もしそうでなかったら「型の目的」の理解と「型の練習方法が間違っているのです。
半前屈(組手立)の時も後屈立(組手立)の時も常に体重は「土踏まず」に乗っていますか。
そして後屈(受け)と前屈(攻め)とが流れるように一挙動で動けていますか。
「掛け足」などで足を踏み出すときに、着地の瞬間まで「抜重」していますか。
足払いを食うようなバタ足は武の運動とは全く違います。
例えば回し蹴りをけり終ったら、もう一度軸足に乗っていることを確認してから次に踏み出す。
そして着地を確認してから体重を踏込足に乗せるのです。運足の基本を守るのです。



「バランスには筋力が必要です」

回し蹴りや足刀けりをする時には、体側の筋肉jを締めて、上体が反対方向に倒れ過ぎて「死に体」にならないように留意します。
後ろけりや、前けりも「筋の締め」を意識します。復元力の無いフォームは「死に体」です。



「突きは肘、蹴りは膝です」

肘が水平・垂直・振り上げ・前方腕力打ち込みと、全身を使って出来れば、拳による突きも「威力」の有るものとなります。蹴りも同様です。
膝が大きく動くことが必要です。膝が高くキープできたら、連続のsスキップキックができます。
又タイミングをずらした受け辛いキックもで出来ます。「ニイ・アップ」こそハイレベルなキックの必須条件なのです。


「学ぶ」を広辞苑でひくと「まねて習う」とある。
しかし、まねるは擬(もどき)であり、まがいものです。
「技」は勲さなければならない。砕いて「こなさ」なければ自分のものにはならない。

八段の先生のやるのが空手ですが、8級の生徒のやるのも空手です。
低い位置から上達していく道しるべとしてあるのが型だと私は思っている。

柔軟・バランス・スピード・パワー・呼吸・動きの意外性など組手向上につながる全ての項目が対象です。     

「テクニックは運動量に劣る」といいますが、逆も言えます。
高度鍛錬者が、意外と高いキックの状態で「フリーズ」ができない人が多い。
多分これは「骨格筋」ではなく、骨盤深部の「腸腰筋」など通常のトレーニングでは使わない筋や腱を使う為だと思う。

「開脚立て膝」で片方の膝を内側に倒して(オルタネイトサイ)その膝頭を人に押えてもらって、それを元に戻すように試みて下さい。多分動きません。しかし、意識を骨盤の腸骨に置いて、骨盤ごとひっくり返そうとすると案外楽に戻ります。骨盤内部の筋力の凄さが理解できると思います。
私は脚を腹部に掛けさせて、自分の周りを一周させる骨盤トレーニングを行わせています。
威力のある蹴りに結びつくと信じています。
「蹴り足を空中で止めるのは無駄」と言う前に、自分でやってみて出来る前と出来た後の組手の対応の仕方が、どう変化したか検証して欲しい。やらずに批判しないでほしいものです。

「剛柔流」の本によると、山口剛史先生は、組手が競技化した事に対して、その流れは認めつつも、殺戮(さつりく)技を後世に残す手段としての「型」を編纂された。相対演武中心の単演の「型」で働きのある「実践型」だ。
「国体やインターカレッジ」で行われる全空連の空手が、体育協会の下で公認コーチ制をとり、「組手部門」と「型部門」とに分れそれぞれが分化発展している。「型部門」は個人の他、団体戦もあり発展を続けている。
しかし「型と組手は表裏一体」なものなのに、型は組手向上の手段なのに、型は服の裏当布地のようなものなのに、必要以上に脇役が主役になって本来の働きを忘れ、意味の無いポーズや無駄な動きが横行しているように思う。「あの受は受っていない」「軸足のバランスが良い」「タイミングの良い蹴だ」「あの足運びは重心移動が不自然だ」「沈み込みに二拳動使った」など、良い点・悪い点を、即、指摘できる指導者でありたいと私共は思っている。

「前けりからクイック突」に対して、「平安Ⅱ」では目突きの交差法を使っています。「安三」でも、金的と上段突のクイックに対して、掌底と孤拳で上段を受けています。つまり、極真の型では上段攻撃や目突きは常識的です。しかし、競技会では顔面攻撃の突や目突きは出来ません。
「バスケット」の試合中、足の遅い二流選手は足掛けなどの反則をすることがある。「やられたから自分も足掛けの反則をする」というのは間違いです。一流選手は足掛けの反則が通用しないぐらい俊敏にかわします。
私達も顔を殴る練習は必要ありません。しかし、顔を殴られない練習は絶対に必要です。顔を左右に振ってよける練習、ダッキングやウィービングやスウェイの練習は型稽古の一部としてやっている。ぜひともやる必要があるのです。

私達「極真空手の型」は、全空連以上にダイナミックでパワフルなものです。なぜなら、たくさんの関節を同時に使い、全身で表現するパワー空手だからです。
極真の型は組手と離れて行くものでは決してない。型をすればする程、組手が完成していくものです。
型から始めて組手を制すのが、極真の型だと思うのです。


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